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BCGが効く、効いている?

 さて枕として英インペリアル・カレッジの話である。

 インペリアル・カレッジは、本コロナ禍を放置すれば、英国で51万人、米国で220万人が死亡することも考えられるとの予測をした(3/18)。

www.afpbb.com

(仮説によるところが大きい試算だが、インペリアル・カレッジだからねぇ…)

 そして米英両国で80%以上の国民が感染するとも予測している。

 

 独メルケル首相は、当初、国民の60〜70%が最終的には感染する、と云っていて、それはすなわち集団免疫に到達するスレショルドの事を意味していたのだと思う、おそらく、他の国でも同様の試算をしていたのだろうし、上記の80%という数字も同根なのだろう。

 しかし一方で、インペリアル・カレッジの研究は、集団免疫戦略はイギリスで25万人、同様の戦略がアメリカで実行された場合110万人が死亡すると指摘している。

 また、フランスについては、封じ込め策が実施されなければ国民の50%が感染し、数十万人が命を落とす恐れがあると警告している。

 

 集団免疫を得るまで…という作戦は、感染して死んでいく人を切り捨てる方針である。 集団免疫を得るまでの期間に、死者も増える(被害が拡大する)。

 感染した人のうち、少なくとも1%、多ければ10%の人が亡くなっている(通常のインフルエンザは1%に満たない)。

 イタリアでは発症後に10日も待たずに亡くなっているとの報道すらある。

 これらの犠牲者を折り込み、集団免疫を得るまで待つ、というのは、あまりにもむごい(「折り込み」ではなく、「見捨てる」といったほうが正しいだろう)。

 したがって、イギリスは集団免疫方針から、隔離・封じ込め策(自宅待機)に転換したのだろう。

 とは言うものの、「封じ込め作戦」にも限界がある。 端的に言えば経済活動が滞り、人心にも不満が溜まる。

 いずれは、あるいは部分的に、限定的に緩和することになるだろう…するとまた感染が再開する。 いたちごっこだ。

 結局はずるずると感染者が増えることになり、集団免疫まで到達することになりそうだ。 医療崩壊を防止するだけで、結局は感染者、死者の総数は変わらないのではないか。 南無。

 

 さて、枕の方が長くなってしまった。

 どうやら、結核対策であるBCGワクチンの投与をしたかどうか、がコロナウィルスによる致死率に大きく影響しているようだ。 そういう分析がすでにネット上に上がっている。

 ポイントは明確で、BCG接種を義務付けている国は、致死率が低く、その逆もまた真なり、という事だ。

(感染率や重症化率との相関についてはデータや分析がない)

 EUでは1980年代からBCG接種が任意などになり、義務的なものではなくなっている。 しかも株を新規なものに変えたという経緯がある。 Wikipediaによると、最近はオリジナルの株が配布されることがあるようだ(BCG株が各地で培養されているうちに有効性を失うことがある模様)。

 そこでBCG接種を義務付けていない国はというと、例えばスペイン、イタリア、アメリカなどは死者の数が激しく増加している。

 最新のAFPによる数字(以下リンク)に基づくと下表の通りである;

www.afpbb.com

 

  感染者 死者 致死率
イタリア 92472 10023 10.8%
スペイン 72248 5690 7.9%
アメリ 115547 1894 1.6%

 アメリカは感染爆発が始まってからまだ1週間経過していないので、致死率の上昇はこれから、だ。 恐ろしい状況になるのだろう。

 なんとならば、BCG接種を義務付けていない国の場合、最悪、イタリアのように致死率が10%強となる可能性がある。 一方ドイツは1%弱だ。

 欧州全体では、結構な比率である;

  感染者 死者 致死率
ヨーロッパ 351877 21334 6.1%

(国ごとの違いは何に起因しているのだろうか? 医療制度の充実ぶり?)

 

 つまり、欧米については、そもそも、今回のコロナウィルスに対して、死に易い前提だった、ということだ(気の毒だが)。

(当初は「握手、ハグや手掴み食事の習慣など、感染しやすい環境のために患者が増えている」と考えていて、それは間違っていなかったと思う。 そして「患者が多いからこそ死者も増えている」と考えていたが、こちらは必ずしも正しくなさそうだ)

 

 さてここで集団免疫獲得の数字に戻ってみよう。

 集団免疫獲得のスレショルドを仮に人口の70%として、さらに乱暴だが、上記のヨーロッパ全体の致死率を使うと、70%の6%で約4%だ。

 つまり、BCG接種が義務化されていない国については、集団免疫獲得まで、国民の4%が亡くなる可能性がある。 非常に乱暴だが、こういう試算はありえなくない。

 上記した通り、インペリアル・カレッジは、アメリカでは集団感染戦略で110万人死亡すると予想しているが、これは人口の1%にも満たない。 ワクチンや治療薬が間に合う? イヤイヤ、そう簡単じゃぁないよ。 つまり、110万人で済むとは到底思えない。 アメリカ人口の4%なら1200万人で、まさにケタが違うということになる。

 

 なお、アメリカは迷走している。 戦時下法制を適用して、大手メーカーに人工呼吸器を製造させようとしているが、それを扱える看護師がどれだけいるのか? 患者のケア(痰の吸引等)もコミで考えねばならない。 そして、単に呼吸器をつけても、そもそもカラダの免疫系が対応できていないので、甲斐がないのではないか。

 

 さて、我が日本はどうだろうか。

 政府や自治体が自重を働きかけているのに、全然緊張感がないバカな連中。

 不安を煽るだけのマスコミ。

 役に立たない野党ども。

 買い占めに並ぶ老害たち(マスクが手に入らないじゃないか!)。

 ソフトパワーは最悪な構成・状況だが、なぜか感染が拡大しない。

 勿論、正確な数を出していないのだろうが、それにしても比較的マイルドな状態が続いている。 これは本稿で述べたBCG接種の御蔭である可能性が高く、法制化した先人達に感謝してもしきれない。 本当にありがとうございます。

 どうか、このまま小康状態を保ち、国内の感染は収束してほしい。

(ひどい事を云うが、この際、諸外国のことは心配していられないよ)