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やっぱりねぇ…/フルトン戦

 蓋を開けてみれば、大方の予想通り、井上選手の圧勝だった。

 個人的に、井上選手を「無慈悲な帝王」と呼ンでいるのだが、今回も無慈悲ぶりをいかンなく発揮したと思う。

 お疲れ様でした、井上選手、そして陣営の皆様。 素晴らしいファイトをありがとうございました。

 フルトンも陣営含めて頑張ったが、相場の10倍のファイトマネーを稼げたンだし、文句言うな。 再戦したきゃ、100倍練習して来い。

 

【0】 試合前

 バンデージの巻き方に対する難癖について、「あぁそうきたか」と思った。 まともな実力だけでなく、ずるさ、汚さも当然活用される。 フルトン陣営はそれをやってきたに過ぎない。

 そして軽く受け流して対応してみせた井上陣営も大したものだと思った。

 また、事前は大方が井上選手有利の評が多かったが、試合が近づくにつれ、「フルトン優勢」の記事が増えていったのがおかしかった。 盛り上げるための逆張りに過ぎない。

#ジェイソン・マロニーをはじめ、対戦した相手の殆どが「井上選手が勝つ」と疑いなくコメントしていたのも笑えた。 ちなみにドネアは「フルトンがわずかに有利」とコメントしていたが、前戦敗退の悔しさが滲ンでしまったのだろうw

 

 前日計量した際の井上選手の体格を見て「あぁこりゃ凄いわ、凄い威力が出るだろうな」と思った。 明らかに筋肉量が増大していた。

 

【1】 リアルタイムの個人的な印象

 開始直後から見せた、左ボディジャブ(ストレート)が刺さるところを見て、あぁこれを準備してきたのか、さすがだな、と思った(身長差を考慮して、確実に命中するところを的にした)。 同時に、全く反応できないフルトンを見て、勝負あった、と思った。 フルトンの得意技であるジャブと前後の出入りが全然出ない。 井上選手のプレッシャーの前にフルトンの動きは封じられていた。

 また、初めて見せるであろうL字ガードについて、あぁやっぱりオールラウンダーなンだなぁと改めて思った。

 2ラウンドの「効いてないぞ、当たらないぞ、打ってこいよ」という挑発は、感情的な昂りもあるだろうが、それ以上に相手を煽る作戦であるように見えた。

 これも2ラウンドだったか、ワンツーのツーが見事にフルトンの顔面を捉え、苦痛に顔を歪めたところが印象的で、「こういうパンチを食らったことが無ぇンだろうなぁ」と思った。

 3ラウンドかどこだったか覚えていないが、2回ほど、「今のはバッティングを狙ったのでは? 少なくとも、あわよくば頭が当たれば良い、という意図の動きでは?」というフルトンの機動があり、やっぱり汚い対策もしてるなぁと思った。

 しかしながら意外と長引き、「フルトン、がンばるなぁ」と思っていた。 とはいえ、相変わらず左ボディが刺さり続けており、試合の主導権は継続的に井上選手が握っているように見えた。 またフルトンは致命的な右を確実にガード(ブロック)していたが、威力の前に後ろに飛ばさるか体制を崩しており、攻めに反転するどころかダメージが溜まっていくように思えた。 右をガードして、それから反攻するパターンを練習してきたンだろうなぁ、でも井上選手のパンチが強過ぎたンだろうなぁ…。

 6ラウンドくらいに、両者の動きが少し粗くなった(疲れが出た?)ように見えて、特にフルトンの動きが落ちたように感じられた。

 そして訪れた8ラウンドの幕切れ。 ダウンしたフルトンは大の字であり、よく立ってきたし、ラッシュの最中、わずかに打ち返しもしたので「凄い!」と感心したが、レフリーが止めたのは正しい判断だと思った。 あのまま続けてもフルトンが挽回することはなかったし、クリンチに逃げることもできなかったろう。

 抱き抱えられたフルトンはかぶりを振っていた、「歯が立たなかった」ことを認めたのだろう。 そして鼻を骨折しているように見えた。

 

【2】 試合後

 日刊スポーツ紙の専門記者ジャッジは、4ラウンド目まで井上選手、5ラウンド以降はフルトンだった。 プロの目(有効打の採用・評価)はそういうものなのか、と勉強になった。

(しかし、その後、それが「プロの目さえ騙していた井上選手の作戦」だったと驚愕することになる)

 井上選手の談話をいくつか挙げる;

 ・フルトンは足を踏んできた。 そういう反則の練習をしてきたのだと思う。

 ・4ラウンド目からペースを落として、フルトンが出てくるように仕向けた。

 

 …驚愕した。 フルトンが頑張ったのではなく、「頑張らせられた」というのが実情だったのだ。 プロの目にはフルトンがポイントを取っているように見えたが、それはそういうふうに仕向けられていたのであった。 なンということだろう。

 じっさい、井上選手の顔にはダメージがなかった。 フルトンのワンツーが当たっているように見えて、実は効く打撃ではなかったのだ…。

 

 あらためてビデオを見ると;

・フルトンは前後の出入り・ジャブを封じられ、仕方なく「普通のボクシング」をするしかなかった(させられた)。 止まっていれば的になるから、動き、そして前に出ざるを得ない。 しかし迂闊な距離に入ると無慈悲な連打に晒される。 フルトンは距離のコントロールに神経をすり減らしただろう。

・フルトンは、井上選手の左ボディジャブがまったく見えていなかった。 「ポマエ、チャンピオンかぇ?」というくらい、情けなく「打たれっパなし」だった。

・ラウンドが進み、たしかにフルトンのパンチが入っているように見えるが、試合後、井上選手はまったく顔を腫らしていなかった。 つまり距離を完全に見切って、効かせていなかったのだ。 当たっているように見えたので、ジャッジはフルトンにポイントを与えていたが、実際は…。 プロの目すら欺く距離の見切り、これじゃフルトンに勝ち目はなかったのも当然だ。

・フィニッシュ。 左ボディジャブではなかった。 あれは左ボディストレートで、深々と刺さって、思わずフルトンはガードを下げた。 その隙に、あやまたず右ストレートで上段を撃ち抜いた(これで事実上決まった)。 つまり、あれは偶発的なノックアウトではなく、あの瞬間、井上選手は倒すタイミングと見て深く左を入れたのだ。 まさに無慈悲な左がフルトンの胴を貫き、動きを止めたのだ。 左ボディジャブが伏線で、トドメは踏み込ンでより威力のあるストレート。 こういう多段階の積み重ね作戦がしっかりはまった。 とはいえ、井上選手でなければ実行できないよね。

 

【3】 そのほか

 色々とフルトン(側)の不行跡というか不行状が漏れてきた。

 ベルトを持ち帰った(!?)ことをはじめ、言い訳とか負け惜しみが過ぎる。 みっともないという言葉を存じないのだろう。 英語には負け犬(Bad Loser)という言葉があるが…。

 

 総じて、期待通りであって、かつ予想を超えた試合であった。 ある意味、いつも通りなのかもしれないが、まったく贅沢な楽しみだ。